あなたとわたしのアンダーグラウンド(1)

期末が近づいているというのに、本が私を呼んでいるので困ります。去年の夏に買って、「分厚いから時間のあるときに読も。」と思っていたのに、最近手をつけちゃったんですよ。あらら、そしたら毎日読むのが習慣になってしまった・・・そしてついに一昨日読み終わりました!(これで勉強に専念できる?)11年前に起こった地下鉄サリン事件の被害者の方へのインタビューをもとに書かれたノンフィクション「アンダーグラウンド」。色々と考えさせられた作品でした。

1995年3月20日といえば、私がまだカルフォルニアで大学生の頃。この地下鉄サリン事件に限らず、日本のニュースをテレビやインターネットなどで目にすることもなく、家族に電話で教えてもらっていた時代でした。今は自分でネットから情報収集していますが、それでも海外で記事を読むだけなのと、実際にリアルタイムでその社会の中に生きながらニュースを知るのとは全く違うことをよく感じます。このオウム関連の事件に関して言えば、アメリカでもメジャーな雑誌に取り上げられていたし、友達にも質問されたのを覚えています。それから日本のクリスチャンの知り合いが「伝道がしにくくなった・・・」とぼやいていたのも。(やっぱり宗教アレルギーの人が増えましたものね。)しかし、「ひどい事が起こったものだ!」とは憤慨はしたものの、本当は何が起こったのか、それが何を意味していたのか、そしてそれが自分とどう関連があるのか、そこまで考えてはいなかったし、事件の重みを肌身に感じていなかったのです、当時の私は。
Continue reading

翻訳の神様、どこ?

前回の「靴下効果=温泉効果!?」に、翻訳についてのこんなコメントがついておりました。

「村上春樹はこっちでも翻訳されて高い評価を受けてるよねえ。英語が母国語の人が読んでも、同じように彼の紡ぎ出す物語の倍音が体に残っていくんだろうか。その辺、翻訳の巧みさにもよるんだろうけど。翻訳でもある意味ルーブリックが通じないとこあるよね。意味を完璧に訳して、文法も流れもスムーズにまとめられていても、なんだか心に残らない。原文の魅力が伝わらないことがある。ふと思ったけど、聖書ってとんでもなく翻訳が難しい書物かもね。」

前にもちょっと触れましたけど、私のアメリカ人の友達で大学教授に熱く勧められたのをきっかけにハルキストになった人がいます。それで私も彼女から英語訳を借りて読んだりしましたが、結構雰囲気は残っているものですね。原文と並べて綿密に比べたわけじゃなく、あくまで前に日本語で読んだ時の読後感と英語で読んだ時のそれの色と密度が等しく感じただけですけど。ところで、村上春樹ときて翻訳といえば、「翻訳夜話」という本が絶対的に面白い!数年前に父に買ってもらい、プロの翻訳・通訳をしていたN子ちゃんに貸して、N子ちゃんからは「神の子どもたちはみな踊る」を貰って・・・(すいません、内輪ネタです。)そうですね、技術的な面についても言及はあるけれど、それより翻訳という作業のメンタルな部分についてパブリックに、そしてパーソナルに村上氏と柴田元幸氏が深く楽しく語り合っていて、とても興味深い本でした。
Continue reading

靴下効果=温泉効果!?

最近、大学院の談話分析のクラスで、「生徒の作文をどのように評価するか」というトピックがあり、それぞれが英作文担当の教授にインタビューしてくることになりました。なるべく客観的、そして公平な評価が出来るようにと、ほとんどの教授がルーブリック(評価表)を使っています。

例えば、
内容。。。20%
構成。。。20%
文体。。。20%
思考の流れ。。。20%
文法・スペリング・句読点。。。20%
こんなのをもとに点をつけているわけです。(教授によって色々違うけど)

でもあるクラスメイト曰く、「私は今学期、フレッシュマン・コンプ(大学一年生必須の作文クラス)教えていて思うんだけど、こういう評価表によれば100%取れる作文でも、いい作文とは言えない、なにも惹かれるものがない文章ってあるよね。」あるあるある!すると教授も、「そうなのよね、だから私はSox Effect (靴下効果)という項目を設けて最大3%プラスしていたわ。」「何ですか、そのSox Effect って?」と私。「あら、それは英語のイディオムで、なにかがあんまり素晴らしくて驚く時、『靴下が飛んでいく』(It knocks my socks off!) と表現するのよ。」はぁ~、「靴下ポーン点」ですか...でも全ての書き手が、全ての作品で、全ての読み手の靴下をぶっ飛ばせるものを生み出せるわけじゃないし、難しくありません?読み手の好みもあるし、かなり主観的な評価になっちゃうし。だから3%なのかな?しかし、プロの作家として読者を獲得していくには、この「靴下ポーン点」が一番大事なようにも思われます。

そこで、先週も引用させてもらった内田先生のブログ(最近、ハマってます)の話を思い出しました。そこに、村上春樹x柴田元幸の雑誌の対談の一部が載っていたので、またまた引用させて頂きます。村上氏、物語についてこう語ります。 Continue reading

Sox Effect = Hot Spring Effect

For the Discourse Analysis class I’m taking at the grad school, we were assigned to interview composition teachers to discuss how teachers should evaluate and grade students’ writings. We found that most professors use a rubric in order to grade their students’ works as objectively and fairly as possible. It may look something like this:

Content……20%
Organization……20%
Style/Voice……20%
Flow of thoughts……20%
Grammar, spellings and punctuations……20%

But one of my classmates said, “Since I’ve been teaching Freshman Comp this semester, it puzzles me that some writings are not that great or attractive even though it is 100% according to the rubric.” True, true. Then our professor replied, “That is possible indeed. So I use to give maximum of 3% for the ‘Sox Effect’ points.” “What’s the Sox Effect?” I asked. “Oh, it’s an idiom to express that something is so surprisingly impressive that it knocks your socks off.” I see…that’s “You knocked my socks off!” points. But not all writers knock off all readers’ socks alike. Readers have their own tastes and it’s rather subjective. Maybe that’s why she only gave 3%. Yet, “Sox Effect” is probably the most important element for a professional writers to gain their fans continuously.

Then I remembered about Mr. Haruki Murakami’s comment on well-written stories quoted in Professor Uchida’s blog. Let me re-quote part of it here.
Continue reading