「東京確認」~ 東京のどこかにいるあなたと握手をしよう

久しぶりに詩を書きました。もっと正確に言うと、まぁ人様に聞いて頂いてもいいかな、という詩が書けました。詩の出来はともあれ、私の人生の節目の記録にはなるでしょう。20年以上もの海外暮らしをひとまず終え、日本で暮らし始めて最初に書いた詩ですから。といっても、既に帰国して2ヶ月くらい経ちましたけどね。いや〜、ただの一時帰国と違って、なんだか緊張してます。慣れない人混みの中、人にぶつかったり、改札でつっかえたりする度に、心の中で「未熟都民で、すみません」「私、実は帰国子女なんで」なんて呟いてます。いや、ホントに。

さて、この「東京確認」は東京のオープンマイクで、東京の方に聴いて頂く前提で書いた詩。詩を読む場所やオーディエンスを想定して書くと、面白い流れができたりするもんですね。以前に読んだ「博士の愛した数式」に、「博士が、言葉の代わりに数字を持ち出すのは『数字は相手と握手をするために差し出す右手であり、同時に自分の身を保護するオーバーでもあった。」という文がありましたが、私にとってもこの詩は「東京にいる誰かと握手をするために差し出す手」なのかもしれないな。ってなわけで、こんな未熟都民ですけれど、よろしくお願いいたします。(ヘッドホンで聴くと、BGMとか蝉の声とか街の音入りで、なんかイイ感じです)

これは、いわばマイクレス・オープンマイクというか、マイクなしの朗読会だったんですけど、初対面ながら他の詩人や朗読人の方達と朗読の合間にディープなお話ができ、まるでそれぞれが持ち寄ったテキストが握手の手になってくれたみたいでした。アメリカのオープンマイクはノリいい・バラエティー豊か・客多い、って感じでしたが、日本のオープンマイクは少人数ながら、個人的にゆっくりお話ができたり、披露される芸に年期が入っていたりで、非常に味わい深いです。どちらも効いてくる場所が違いますが、いい刺激になりますわ。

字ヅラも楽しみたい方のために、テキストも載せますね。

東京確認

「あなたにとって、東京とは?」と訊かれ、
「東京は記号だ」と答えたことがある。
おかしなことを言ったもんだ。
東京生まれの東京育ちなのに。
・・・だけれど今なら、よく分かる。

15で日本を飛び出して、
「どこから来たの?」と訊かれる度に、
“Tokyo”と私は答え、
“Oh, Tokyo!”と返された。
世界共通の記号のように。

彼等はそれを皮切りに
自分の記号的東京を
「東京人」に確認する。

東京といえば:
−日本の首都
−人口密度が世界一番
−物価が高い
−満員電車が殺人的、
などなど

祖国を離れた者は、祖国の代表者となり
故郷を離れた者は、故郷の代弁者となる。
たとえ、浦島太郎でも。

記号的な代弁で
私の無知と記憶の噓は
長年ごまかされていたようで、
ようやくそれに気が付いたのは
また此処で暮らすようになってから。

記号的事実を個人的実感にすり替えるべく
満員電車の会話に耳をそばだててみたり、
野菜の値段をここそこで比べてみたり、
通ったこともない路地裏をぶらついてみたり、
ハチ公をスケッチしてみたりしたが、
まだまだ、東京人未満。

当たり前のことだけど、
そこで暮らす者にとって
街は記号なんかじゃなく、
日常の背景で
生活の基盤で
無意識にも現実。

さて、
あなたにとって
東京とはいったい何ですか?

ところで、詩に題をつけるのって、大抵最後になるし、けっこう悩みどころだったりします。でも、「東京確認」は悪くないかも。書いた後で気がついたんですが、この詩の中では「東京確認」作業が4回あるんですよね。帰国前の自分と、海外の方々と、帰国後の自分、そして最後は東京のオーディエンスに振っちゃってる(笑)。かなりむちゃぶりですけど、こんな握手もありってことで、いいですか?

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